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大阪地方裁判所 昭和43年(ワ)4738号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕一 請求原因一(物捐、傷害交通事故の発生)の事実は当事者間に争いがない。

二、そこで、加害車運転者訴外本種の過失の有無について審究する。<証拠>を総合すると、本件事故の状況は左のとおりであつたものと認められる。

1 現場の状況

事故現場は、市街地を東西に直線に貫く、幅員約九メートルのコンクリート舗装道路で、歩車道の区別はなく中央に中心線が標示されていて、制限速度四〇キロメートル毎時の規制区域であり、事故当時は晴天の昼間で路面は乾燥して良好、見透しも良く、車両の往来は頻繁であつた。

2 事故の状況

加害車は、本種運転手の一人乗務で、右道路を西から東へ向けて約五〇キロメートル毎時の速度で、現場に差しかかつた際、西進して来て北行路へ向けて右折すべく、該東西道路の南側中心線寄りに一時停止して直進車の通過を待つていた軽四輪貨物自動車(訴外多田一幸運転)が、その後方から西進して来た日本通運株式会社所有の大型貨物自動車に追突されて押し出され、その勢いで東進中の加害車右後部泥除け附近に衝突し、衝撃音と共に瞬間本種の把手がこれによつて若干右に切れた。これを感じた本種は、何ごとかと思つて前方から視線をそらし右側後方を見たところ、前記日本通運の大型貨物自動車が先に追突した地点附近に停止していることが判つた。ふと前方に視線をもどすと、加害車は既に中心線上に車首を対向車線の方に向けて進行中であることが分り、それと同時に被害者が対向車線上の前方八メートル余りの所を西進して来るのが目に映り、驚きとともに最早やなす術もなく、対向車線上で被害車の右前部に加害車の左前部を衝突させ、その衝激により被害車を約二七メートル東方南側路外へはねとばし、加害車は更に対向車線を越えて路外南側へ暴走し、西向きに路外に駐車してあつた普通乗用車、普通貨物車に順次衝突すると共に、附近にいた大西清道(二六歳)をはねとばして停止した。

3 本種運転の身体状況

当日は、朝食をとらず、布施市島町四三の被告会社から、加害車に重油八〇〇〇リットルを積込んで神戸市川崎製鉄に向い、同所にその一部を配達した後姫路市竹中商店に向い、同店に残部を配達しての帰途で、その間昼食もとらないまま午後一時ごろ本件事故を起したもので、当時身体的に必ずしも正常とは言えない状態にあつた。

他に、右認定を覆すに足る措信すべき証拠はない。

右事実からすると、本件被害車との衝突事故は、その第一原因が前記日本通運の大型貨物車の追突にあることは明らかであるが、訴外本種の、自動車運転者にとつて最も基本的な注意義務である進路前方を注視すべき義務をおろそかにした過失、とりわけ、車両の往来のはげしい本件道路で、剰え、加害車の右後部への衝撃により、瞬間ハンドルが右に切れたのを自ら感じている状況下では、なおさらこの点に神経をそそぐべきところ、その危険性に対する配慮を全く怠り、先に衝撃者のした右後方をふり向くなどのまことに無責任な運転態度こそ、本件事故の主因となすものというべきである。本種栄助の運転上の過失は、それが当日の体の不調に因るものであるにしても、極めて明白である。

請求原因二(被告の責任原因)の事実中、右本種の過失を除くその余の点は当事者間に争いがないから、被告は原告らの被つた本件事故による損害を賠償すべき義務がある(原告会社に対し民法七一五条、原告鬼塚に対し自賠法三条)。

なお、右のとおり、本種栄助の過失が明らかであるから、被告主張の免責の抗弁は成立する余地がない。(中村行雄)

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